九州の皆さんが疑問を抱いてらっしゃるようなので、
京都市出身の私が「なぜ関西人は東京で関西弁を話すのか」について解説しようと思います。
これには以下4つの理由があります。

1.プライド
これは皆さんが既に挙げてらっしゃる理由です。
郷土愛、近畿の歴史と文化に対する自負、東京弁に対する生理的嫌悪感が要因でしょうか。
東京に対する対抗心で頑なに近畿方言を通すタイプの人は実はあまり多くありません。

2. 必要性を感じない、面倒くさい
日本語の標準は歴史的に畿内で培われた背景があり、
現代標準語も上方言葉(上流階層の近畿方言)を関東風に焼き直したものであるため、
実は皆さんの想像以上に近畿方言と標準語は他の方言と比べて言語学的に近しい関係にあります。
(アクセントは全く違いますが、方言学的に近縁性を見る際、アクセントはあまり重視されません)
さらに昨今では芸人を中心に全国メディアで日夜盛んに近畿方言が話されているため、
よほど訛りが強くない限り、全国の人々にも近畿方言が理解できてしまうのが現状です。
これらの理由から近畿人の多くがわざわざ東京弁を話す必要性を感じていません。
また近畿人が東京弁を話す場合、イントネーションを大幅に変える必要があります。
その労力は多大で、思考のメモリーリソースがそちらに割かれてあらゆる能率が落ちます。
そこでコストとベネフィットを天秤に掛け、東京弁を話すことを放棄しているのです。

3.単純に喋れない
単純に喋れません(笑)
上で書いたように近畿方言と関東方言ではアクセントがまるっきり異なります。
これを精緻に東京アクセントにするのは近畿人にとって至難の業です。
もちろん法則に則れば、一定レベル似せる事も可能ですが、所詮偽物にしかなりません。
北海道〜東北〜中部〜中国人の大半、そして一部の九州人の方が乙式(東京式)アクセントの方言を話し、
首都圏方言アクセントに容易に変換することができるのとは対照的です。
「本当は死ぬほど標準語を話したいのに話せない(>_<)」という人も珍しくありません。
そういう人の下手くそな東京弁を聞いて「こいつは関西弁で通してやがる!」と
あなた方が憤っているケースも多そうですね。

4.認知バイアス
よく「女子は男子が胸をチラ見していたら必ず気づく」という言説がありますよね?
しかしあれは実際には女性が運良く男性のチラ見に気づけた場合のみをカウントし、
女性が不運にもチラ見に気づくことが出来なかったケースを排除した
不完全な統計情報に基づいて導き出された誤った結論です。
これと同様に、あなた方の多くがこの観測者の誤謬に引っかかっていると思われます。

多くの近畿出身女優や、手塚治虫なんかを想像して頂くとわかりやすいのですが、
近畿人にも東京では東京弁を話す人間はゴマンといます。
ただあなた方がそういう人間の出身地をいちいち確認せず、
「こいつは関西弁を話さないから関西人じゃないだろう」とスルーしてるだけに過ぎません。
結果、東京で近畿方言を話す「野蛮な関西人」しか目に付かなくなり、
「関西人というやつはみんな関西弁を頑なに話しやがる!許さんぞ!」という憤懣につながるのです。


以上が「なぜ関西人は東京で関西弁を話すのか」の私なりの答えです。