俺は曲作るのはさっぱりダメなんだけど、ライブのパフォーマンス
みたいなことを手伝ってた。

相方の作曲担当の才能か、バンドは盛り上がって、毎日毎日オールの
イベントが入るようになった。
あの頃は楽しかった。俺達が世界の中心にいる、そんな感じだった。

ただね、何日も寝ないでパフォーマンスするって、最悪のブラック労働だよ。
踊っているのに、知らないうちにブッ倒れて眠っちまうこともあった。

変な恰好したり、踊ったり、慣れない歌を歌ったり。
毎日毎晩、俺何やってるんだ……
楽しかった日々がくすんで見えた。ただただ休みたかった。

けれど、相方に「どうしてもお前のパフォーマンスがいる。俺はステージの
主役にはなりたくない」と土下座して頼まれた。

そんな俺は、疲れからか、不幸にも黒塗りの高級車に衝突してしまう。
連れをかばい、すべての責任を負った俺に対し、車の主が言い渡した
示談の条件とは……