「もしもDTMをしていなかったら」
───この言葉はG25(月収25万)ゴブリンに刺さっていた
正味、タワマンがどう、金時計がどう、そこはさほど刺さっていない
キラッキラの物に興味がないのである
それよりも自らに投げかけられた「IFの世界」が刺さる
G25ゴブリンは自分で言うのもなんだが頭がいい、人よりも優秀───そう自負していた
だからこそDTMという最難関クラスの競技で25万円稼ぐことができている

なれば

であるなれば

「もしもDTMをしていなかったら」

G25ゴブリンは頭を振った

(考えてもしょうがないに!それは!そればっかりは!)

「考えてもォ!」
机を殴ろうとたし右手を、左手が素早く制する
(HIDEチャンのやつめ!その指摘、そこは、正味刺さっとるに、よう考えたに、そこは)
G25ゴブリンは目を閉じた
静寂の中、ジュニアが走り回る足音が聞こえてくる
──これでいいに、みな、人生には”分”というものがあるに!
ボキは分をわきまえてそうありたいに!

だが否定すれば否定するほどに頭をもたげてくるIFの世界
雪の下に埋めた死体──しんしんと雪が降り積もるほどに「ああ気になってしょうがねえ!」
そして、ちょっとだけ、様子を見に行きたくなる
大抵の殺人犯はそうして捕まる

「もしもDTMをしていなかったら、別の分野に同じだけ注力していたら、今頃ボキはどれほど成功できていただろう」