「ざーとらしい」
アームズビルド長官は腕を組んだままそう言った
利休ほど、ほのめかした文化人が歴史上いただろうか────

余計なものが何もない、和の空間───

「ざーとらし!ざーとらし!」
頭に茶室をイメージするたびに、アームズビルド長官の怒りは次第にボルテージを上げていった
HIDEチャンだったらどうしただろうか
いったんはミニマムに作ったものの、あまりにも何もない空間では思考停止だと批判されることを恐れ
あえてペン立てとかガラスの置物を配置しただろう───やや無造作に───
完璧主義(パルフェクチオニズム)とはそうしたモノなのである

針を振り切った地点から、やや戻す
もどしすぎて中間に見えてしまわないように、微調整する

「印籠を見たことがない者に印籠を見せても無駄なんだよ!! 」

バアン!!
アームズビルド長官はオフィスの机を思いきり叩いた
「一体何人が、印籠を見てそれが持つ意味を知っていたというに!!!!!」────

アームズビルド氏自身が持つ過去の記憶に着火し、ついに怒りが爆発した
1980年代、アームズビルド氏はSFカートゥーン作家を目指していた
壮大なスケールで数世代にわたる恒星間の群雄割拠を描いた、未完の大作である
氏は、その綿密な世界観構築のために30年以上を費やしていた

『DTM昭和史 〜アルテミス・リフレクション〜』
令和3年3月10日
全国の防災ラジオで一挙放映