もう一つの利点は片電源でも出力コンデンサなしにできることで、たとえば電源が+3.3Vなら出力はグランドに対して0V~+3.3Vの範囲で振れるが(実際には僅かに狭くなる)、マイナスには振れられないので、出力を直結するとヘッドホンに直流分が流れてしまう。
それはまずいので出力コンデンサで直流分をカットするが、ヘッドホンのインピーダンスは比較的低いので大容量コンデンサが必要となり、この大容量コンデンサの特性があまり良くない。
スピーカーのパワーアンプにも同じ問題があり、歴史的にはマイナス電源を導入することで解決された。
出力がプラスマイナス両方に振れるようになれば0Vを基準にして出力でき、出力にコンデンサを入れる必要がなくなる。
±2電源・OCL (Output Capacitor Less)という古い用語を知っている人もいるかもしれない。
アナログ入力のパワーアンプは現在もこの方法が主流である。
しかし最近のミニコンポなどのパワーアンプは片電源のものが多い。
ソースがデジタルになり、デジタル系は基本的に片電源だからだが、ではパワーアンプはどうしているのかというと、バランス駆動して解決している。
電源が+20Vなら出力は0V~+20Vの範囲で振れるわけだが、もう1つ逆相出力を用意して、正相出力と逆相出力の間にスピーカーをつなぎどちらも+10Vを中心に振れば、+10Vと+10Vだから直流分はなくなり、片電源でも出力コンデンサが不要になる。
接続は従来のパワーを出すためのBTL接続と同じで、実際電源電圧の割にパワーは出るが、主目的はパワーを出すことではなく、片電源で出力コンデンサを追放することである。
TRSフォンのヘッドホンで同じことをしようとすると、S (Common)を-(L+R)で駆動し、T (L ch)を-R, R (R ch)を-Lで駆動すればできる(L chが-L, R chが-Rでないことに注意)。
しかし-(L+R)ということは左右同相なら2倍振れるわけで、混入した逆ch信号を各chで打ち消すようなことになるので、スピーカーの場合とは逆に電源電圧の割に出力が取れなくなることに注意が必要である。