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間もなく、「IX」を完成させるために、藤澤は「X」を離れて「IX」に専念すべき、という状況に至りました。
少なくとも「IX」を完成させなくてはならないことは事実だったので、自分は一度「X」の開発を離れることを決めました
自分は、「開発の続行」を選択しました。正直なところ、この選択は、あまり悩みませんでした。理由は、ふたつあります。
もうひとつは、「ドラゴンクエストX」の開発スタッフに、吉田直樹がいたことです。
今では「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」のプロデューサー兼ディレクターの『吉P』としてすっかり有名ですが、当時は「ドラゴンクエストX」のチーフプランナーをしていました。
誰もが認める有能な開発者で、自分も全幅の信頼を置いていた人間だったため、彼が代理ディレクターを務めてくれるのであれば、問題なく開発を続行できると考えました。

1年半ぶりに復帰した「X」の開発現場では、自分はまさに浦島太郎にでもなったような気分でした。
ただ、見ていけば見ていくほど、自分の感覚との「ズレ」が存在していることを認めないわけにはいきませんでした。
そんな状態がしばらく続いていたある日の夜遅い時間、テクニカルディレクターの青山公士が、やや深刻な表情で自分に話しかけてきました。
いつも穏やかな青山が、感情を表に出して話しかけてくることは日頃ほとんどなかったので、とても印象的な出来事でした。

「あなたが方向性を示せないんだったら、このプロジェクトは絶対に失敗する」

その後、会社の上層部から吉田に対して新規プロジェクトの立ち上げ依頼があり、自分の復帰後業務が安定したタイミングで、吉田はそのプロジェクトの立ち上げに回ることになりました。