環状星雲M57に謎の構造を発見。最新観測で判明した「鉄の棒」の正体
公開: 2026-01-21 20:30
https://karapaia.com/archives/579885.html
 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)などの研究チームが最新の観測装置を用いて捉えたのは、電離した鉄原子が巨大な帯状に集まった領域である。
 この鉄の構造は火星1個分に匹敵する質量を持ち、その長さは冥王星の公転軌道の約500倍にも達する。
 研究チームは発見された構造が、死にゆく星によって飲み込まれた岩石惑星の残骸である可能性を指摘している。
 宇宙に浮かぶ巨大な鉄の正体は、星の最期と惑星の運命を解き明かす重要な鍵となるかもしれない。
 鉄の構造に含まれる鉄の総量は火星1個分の質量に匹敵し、鉄の棒の長さは冥王星の公転軌道の約500倍という、太陽系全体をいくつも並べられるほど巨大なものである。
 電離した鉄原子とは、恒星が放つ強いエネルギーを受けて、原子から電子が飛び出したプラズマ状態の鉄を指す。
 巨大な鉄の帯がなぜ星雲の中央に存在するのか、その形成理由については現在2つの説が検討されている。
 1つは、親星からガスが放出される際の複雑な物理現象によって鉄が集まったという説であり、もう1つは、恒星の周囲を回っていた惑星が消滅したという説である。
WEAVEで捉えた環状星雲(M57)の合成画像。外側の明るい輪は3種類の酸素イオン、中央を横切る「棒」のような部分は4回電離した鉄原子のプラズマが放つ光で構成されている。Image credit:University College London
鉄の帯は恒星に飲み込まれた岩石惑星の残骸か
  研究チームが特に注目しているのは、かつて恒星の周囲を回っていた地球のような岩石惑星が、巨大化した恒星に飲み込まれて蒸発したという説である。
 惑星を構成していた鉄成分が恒星の熱で溶け出し、プラズマの帯となって宇宙空間に残されたという考えだ。
 惑星蒸発説が正しければ、今回発見された鉄の棒は、かつて存在した惑星が熱によって分解された成れの果てということになる。
 研究チームは今後、さらに高精度の観測を行い、鉄の構造が惑星由来のものかどうかの確証を得る予定だ。
この研究成果は『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』誌(2026年1月16日付)に掲載された。