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 さらに興味深い発見があった。
 搭載機器SWI(サブミリ波装置)の観測によって、この大量の水の多くが天体の固体の核から直接噴き出しているのではないことが明らかになったのだ。
 水は太陽に向いた側で天体を取り巻く氷の塵の雲から沸き上がっていた。
 固体の核ではなくその周囲に漂う無数の小さな氷の粒が熱を受けて蒸発し、膨大な量の水蒸気を生み出していたのだ。
 高解像度カメラJANUSは6000万km離れた距離から天体の姿を克明にとらえ、核を包む広がったガスの雲であるコマ、尾、そして光線状・糸状の細かい構造まで確認された。
 紫外線観測装置UVSは、天体核の後方に約500万kmにわたって広がる水と塵の痕跡を記録している。
木星探査機JUICEは彗星3I/ATLASから水蒸気と二酸化炭素を検出した Image credit:ESA
100億年前の星が残した化学の指紋
 3I/ATLASの水には、もう一つ重大な秘密が隠されていた。
 通常の水(H₂O)と、水素の一部が重水素に置き換わった半重水(HDO)の比率を分析すると、天体がどのような環境で生まれたかを特定できる。
 ALMAやジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による分析では、3I/ATLASのこの比率が太陽系の水と根本的に異なることが示されており、若い恒星からの強烈な紫外線が降り注ぐ極めて寒冷な環境で形成されたことを示唆している。
 太陽系の年齢は約45億年だが、3I/ATLASは約100億年前に別の恒星系で誕生したと考えられている。
 米アラバマ州のオーバン大学の物理学者デニス・ボーデウィッツ氏は、「恒星間天体から水を検出することは別の惑星系からのメッセージを読み解くことであり、生命の化学に必要な材料は私たちの太陽系だけに特有のものではないことを示している」と語っている。
 同大学の研究者ゼシ・シン氏は、太陽系にやってきた恒星間天体の仲間、オウムアムアは乾燥していて、ボリソフは一酸化炭素に富んでいて、3I/ATLASは予想もしなかった距離で水を放出していると指摘する。
 恒星間天体が発見されるたびに、星の周りで惑星や彗星がどのように形成されるかについての理解が更新されてきた。
 JUICEは間もなく次の航行フェーズに入り、木星系への到着は2031年を予定している。
 今回の緊急観測は、深宇宙の過酷な環境でもJUICEが高い観測能力を持つことを証明するとともに、100億年前に別の星系で生まれた天体が、生命の材料が宇宙に広く存在することを示す証拠を運んできた意味は大きい。