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//ほころび始めた標準宇宙モデル。未知なる物理学の幕開け
局所宇宙の観測が示した73.50という数値は、初期宇宙からの予測値である67.24から7.1シグマという途方もない統計的有意差で乖離している。科学の世界において、このシグマ値は偶然の揺らぎで生じる確率が数千億分の一以下であることを示しており、両者が根本的に異なっていることを明確に宣言するものである。
もはや、この矛盾を観測機器のノイズや技術の未熟さに責任転嫁することはできない。人類はついに、標準宇宙モデルの限界という深い深淵を直視せざるを得なくなった。現在の宇宙論の絶対的な基盤となっているΛCDMモデルは、ビッグバン以降の宇宙の進化を極めて美しく説明してきた。だが、初期宇宙のデータにこのモデルを当てはめて予測した「現在の姿」と、実際に測定した「現在の姿」がこれほどまでに食い違うということは、宇宙空間の進化を司る方程式の中に、私たちがまだ気づいていない決定的なピースが欠落していることを意味する。
その欠落したピースの正体については、現在も激しい議論が交わされている。宇宙の膨張は、物質同士が引き合う重力によって徐々に減速していくはずが、実際には「ダークエネルギー」と呼ばれる未知の力によって加速している。このダークエネルギーの密度が、宇宙の歴史の中で常に一定であったという前提が間違っており、時間とともにその性質を変化させてきた可能性が有力視されている。また、私たちが知る物理学の標準模型には含まれていない全く新しい素粒子が、初期宇宙の灼熱のプラズマの中で光や物質と未知の相互作用を起こしていた可能性もある。あるいは、アインシュタインの一般相対性理論が、宇宙の大規模構造においてはわずかに修正を必要とする可能性など、これまでの物理学の常識を根底から覆す新たな理論が次々と提唱されている。