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圧倒的な矛盾を突きつける実測データが立ち塞がり続けている。現在の私たちの周囲にある局所宇宙の天体を直接観測し、実測値として膨張速度を割り出すと、どうしても初期宇宙からの予測値よりも大きな数値が出てしまう。この食い違いは「ハッブル・テンション」と呼ばれ、過去10年以上にわたって現代宇宙論における最大の難問であり続けてきた。二つの極めて高精度な測定手法が、全く異なる答えを導き出している状態である。東京から大阪までの距離を測る際、最新のレーザー測量機で地表を直接測った結果と、人工衛星からの電波で理論的に計算した結果が数キロメートル単位で食い違い、何度測り直しても決して一致しないような異常事態に等しい。

この膨張速度のズレは、決して学術的な些末な誤差にとどまらない。ハッブル定数は、宇宙が誕生した瞬間から現在に至る約138億年という時間を逆算するための分母となる。この数値の食い違いは、宇宙の年齢推定において数億年から十億年規模の誤差を生じさせる致命的な結果をもたらす。私たちの知る宇宙の歴史が根底から書き換えられるほどの深刻な亀裂が、そこには走っている。