研究チームは放射の存在を立証し、さらに放射が生み出された瞬間にポンプパルス(重力場の役割を果たす光)が受けた反作用を世界で初めて実験的に観測した。
スケート靴を履いた人物が重いボールを前方へ投擲する場面における力学の構造は、本システムの振る舞いと合致する。ボールが勢いよく飛び出せば、投げた人間は作用・反作用の法則によって後方へ押し戻される。ブラックホールのアナログ系においても、ホーキング放射がエネルギーを持ち去った分だけ、事象の地平面を作り出しているシステム(ポンプパルス)は等価なエネルギーを失わなければならない。
研究チームは、紫外線の分光スペクトルの中に、ホーキング放射のメインピークとは別に生じた「非対称なサイドバンド(波長のズレ)」を発見した。プローブ光との相互作用によってエネルギーを奪われ、周波数がわずかにシフトしたポンプパルスの痕跡である。この微小な変化こそが、アナログブラックホールが蒸発に向かってエネルギーを失うバックリアクションの決定的な証拠であった。