水素は、この宇宙で最も軽い原子です。
そのため水素は「小さな粒(ボール)」としてだけでなく、電子のように「波」としての性質が、ほかの原子核よりも表に現れやすいという特徴を持ちます。
同じ水素が粒子のときは「今、ここに1個ある」と言える状態になり、波のときは「ここにも、あそこにも、ぼんやり広がっている」という状態になるのです。
ここでいう「波」とは、揺れて進む海の波のことではありません。
量子の世界では、そもそも水素の居場所がはっきり一点に決まらず、「このあたりにいそう」としか言えないという意味なのです。
この「いそうな度合い」を、濃いところと薄いところとして空間に塗り分けると、輪郭のない、ぼんやりとした「存在確率の雲」ができあがります。
水素が「波」であるとは、要するに、この雲のように居場所がにじんで広がっているということなのです。
先ほど触れた「幽霊のような状態」とは、まさにこの雲のように、水素があちこちに同時ににじんでいる姿のことでした。
そして、この波であることの「特技」が、量子トンネル効果と呼ばれる現象です。